動物であるにもかかわらず、植物として「葉緑体」を持つことで知られるミドリムシ。
ミドリムシが緑色をしているのは、葉緑体に含まれる「クロロフィル」と呼ばれる天然色素が関係しているとご存知でしたか?
ただ、「どんな働きをしているの?」と聞かれるとすぐには答えられないもの。
単純に「美容と健康に良い」としか言えません。それでは、誰も納得してくれないことでしょう。
そこで、今回はミドリムシの天然色素「クロロフィル」、その驚きの働きについてお話しようと思います。
ただの色素と思われていたクロロフィルも、健康や美容に良い働きが秘められていたのです。
クロロフィルとは
クロロフィルは、緑色をした天然色素の一種です。
植物や藻類などに含まれる葉緑体、さらにその中に含まれているのがクロロフィルとなります。
そんなクロロフィルですが、一般的には「葉緑素」と呼ばれています。
私たちが中学校や高校の理科の授業中、植物の光合成を学ぶ際にも葉緑素が登場していたはずです。
ここまでの話では、「クロロフィルはただの色」と思われてしまいそうですがそれは間違いです。
クロロフィルは葉緑体の一部として、光合成を行う上で欠かせない存在と言えます。
ちなみに、クロロフィルは別名「緑の血液」とも呼ばれています。
これは、クロロフィル(葉緑素)がヘモグロビン(血中の色素の一種)と近しい構造をもつためです。
また、クロロフィルは上記の構造により、血液に流出した際には鉄分を結合しヘモグロビンに変化することが可能です。
つまり、クロロフィルは私たちの血液を構成する物質としても役に立つ成分なのです。
クロロフィルの働き
クロロフィルがただの色素ではないことはご理解いただけたと思います。
では、クロロフィルにはどのような働きが期待できるのでしょうか?以下に、主な働きをまとめました。
1.抗がん作用
クロロフィルには、抗がん作用が期待できます。
これは、クロロフィルには抗酸化作用があるためです。
私たちのDNA(遺伝子情報)は、毎日のように発生する「活性酸素」により損傷します。
この傷ついたDNAにより細胞が生成される際、「遺伝子のエラー」としてがん細胞が発生するのです。
クロロフィルの抗酸化作用は、この活性酸素の生成を抑制することでがん予防に繋がります。
2.コレステロール値の低下
血中のコレステロールが増えると血流が悪くなり、血栓ができやすくなります。
血栓が溜まると、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞など重大な疾患に繋がるのです。
クロロフィルには、そんなコレステロール値を低下させる働きがあります。
つまり、血液の流れを良くし循環器系の疾患予防に効果が期待できるのです。
重金属の排出
日本の公害として有名なイタイイタイ病はカドミウム、カネミ油症はダイオキシンなど、重金属により引き起こされました。
クロロフィルには、これら重金属を吸着させ排出する力があります。
私たちは生態系の頂点として、日々の食事から様々な物質を摂取します。
クロロフィルは、その中から有害なものを上手に取り除いてくれるのです。
4.血液循環の促進
クロロフィルには、マグネシウムの他に有機ゲルマニウムが含まれています。
有機ゲルマニウムには血液循環を促進させる働きが期待できます。
血液は栄養分や酸素など、生命維持に欠かせない物質を運搬しています。
有機ゲルマニウムが血液循環を促進させることで、貧血予防にも効果があるのです。
5.消臭効果
上述した通り、クロロフィルには血液循環を促進させる働きがあります。
つまり、血液がサラサラな状態ということです。
サラサラな血液は、体内の代謝機能を高めてくれます。
それだけ腸内も活発に働き、腸内環境が正常化されることで老廃物による体臭などを抑える効果が期待できます。
このように、クロロフィルには体の中から清浄化を進める「デトックス(解毒)効果」があるのです。
ただ「緑色の色素」との認識が、これで変わったのではないでしょうか?
クロロフィルを含む食品
先述した通り、クロロフィルにはデトックス効果が期待できます。
「ぜひ積極的に摂取したい」という方もいるでしょう。
そこで、以下にクロロフィルを豊富に含む食品をまとめました。
・ほうれん草
・緑茶
・小松菜
・明日葉
・海藻
など。
上記を見て分かる通り、クロロフィルは緑黄色野菜に豊富に含まれています。
ただし、加熱調理することで酸化し、クロロフィルの働きが低下してしまうため注意が必要です。
調理のポイントは、鍋に塩をひとつまみ入れて食品を茹でるというもの。
クロロフィルの酸化を抑え、十分に効果を維持することができます。
まとめ
今回は、ミドリムシに含まれるクロロフィルについてまとめました。
ミドリムシなどの「緑色の色素」くらいにしか思われていなかったクロロフィル、その働きに驚いていただけたと思います。
ただ、クロロフィルは加熱調理により酸化しやすい物質です。
だからこそ、ミドリムシからの摂取が効率的と言えます。
これは、ミドリムシの吸収率が93.1%と非常に高いためです。
また、ミドリムシにはクロロフィルの他にも59種類もの栄養素が含まれています。
ぜひ日々の生活にミドリムシを取り入れ、クロロフィルを始め様々な栄養素から健康的な体作りに繋げてください。