ブルームバーグはユーグレナ社の石垣島駐在研究員にスポットを当て、今後の燃料事業について報じた。
梅雨明け間も無い沖縄県石垣島の空の下、2020年までに航空機のジェット燃料にする使命を果たすため、研究員の武田氏はミドリムシの健康状態を日々チェックしている。
生産技術研究所に赴任したのは3年前。現地研究員は当初1人で不安を抱えた離島生活だったが、今やミドリムシとは「色で調子が分かる」ほど絆を深め、仕事帰りには自社のカフェでミドリムシ入りの泡盛リキュールを研究所の仲間と酌み交わす。
ユーグレナ社はミドリムシの屋外大量培養に成功し、その豊富な栄養素が注目されて食料品や化粧品などヘルスケアでの売上を伸ばしてきた。
一方、ミドリムシは二酸化炭素を吸収、成長する光合成の過程で軽質の油を作り出すためバイオマス燃料としての研究、開発も進められてきた。
将来的にはヘルスケアよりバイオ燃料の売上高が大きくなるとユーグレナ社の出雲社長も語る。
バイオジェット燃料については5年前に全日空と日本航空の要望を受けて開始した。
原油価格の高騰による収益の圧迫と、温室効果ガスの排出削減を迫られた航空会社の事情があった。
石垣産ミドリムシは成長度合いに応じて大小さまざまな培養槽で育てられ、収穫後は施設内の装置で粉末状に加工される。
ユーグレナのホームページにはこれまでの累計生産量がリアルタイムで示され、その数18京5800兆匹。ジェット燃料として使われた場合は4600キロメートル飛ばすことができるらしいが、これは日本とバンコク間の片道距離に過ぎない。
ジェット燃料の実用化には一層の大量培養が必須であり、原油と競争可能なレベルまでコスト削減できるかが課題である。
大型設備の技術開発を通じて2018年までにさらなるコスト低下を目指す。
石垣島への転勤を拒否したこともあるという武田氏。今では「かなり良い日射条件で屋外で研究ができるのは他社にない大きなメリット」と感じ、バイオ燃料研究で「最先端という自負はある」と語った。
出典:Bloomberg.co.jp