理化学研究所環境資源科学研究センターの研究グループがプランクトンなど藻類の構成分子を詳細に調べる方法を開発しました。
実験のモデル試料に使用されたのは、ミドリムシ。
プランクトンの細胞を計測できる、多次元固体核磁気共鳴(NMR)法というものがありますが、これまで固体NMR法では細胞まるごとの解析はうまくできませんでした。
この実験では解析方法に工夫を施し、細胞丸ごとの解析が可能であるか調べました。実験の結果、ミドリムシの培養環境によって構成成分が変動することを示し、検証した手法が有効であることを証明しました。
ミドリムシに含まれるパラミロンや、不飽和脂肪酸(DHAやEPA)などの有用物質の解析ができるようになりました。
この研究は、将来、農林水産物の品質評価などにおいて成果が期待できます。
細胞をまるごと計測できるということは、破砕や抽出といった工程が要らずに現場で品質評価が可能になります。
そして、藻類の解析が進めば ”海を耕す” 新しい生産システムができあがります。
人類は今日まで家畜や穀物、樹木など陸上生物から行う生産を主軸に生きてきましたが、間もなく迎える人口爆発時代に陸上の生物生産ではとても賄いきれません。
水圏の生物の特性を活かした生産システムの構築が必要なのです。
すでに食品や化粧品として実用化され、燃料としての研究も進むミドリムシは地球の未来に大きく期待されている生き物です。
水圏の生物を食品、化成品、飼料などに活用することが将来期待されています。
ミドリムシはその成功例として多方面から注目されています。
(出典:理化学研究所 広報活動/有用プランクトンを細胞丸ごと計測する多次元固体NMR解析)